診療案内
腰痛
原因と病態
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腰痛症の原因はさまざまですが、腰(脊柱)に由来するものと、腰以外に由来するものがあります。
腰(脊柱)に由来するもの
- 先天異常
- 側弯症
- 成長に伴って起こるもの
- 変形性脊椎症
- 椎間板ヘルニア
- 脊柱管狭窄症
- 主に加齢によるもの(変性すべり症など)
- 外傷によるもの(腰椎骨折や脱臼など)
- 感染や炎症によるもの(カリエスや化膿性脊椎炎など)
- 転移癌などの腫瘍によるもの
腰以外に由来するもの
- 血管の病気(解離性大動脈瘤など)
- 泌尿器の病気(尿管結石など)
- 婦人科の病気(子宮筋腫や子宮内膜症など)
- 消化器の病気(胆嚢炎や十二指腸潰瘍など)
- 変形性股関節症などの腰以外の整形外科の病気によるもの
- 身体表現性障害、統合失調などの精神疾患や精神的なストレスによる心理的な原因によるもの
診断
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患者さんによって様々な原因があり、その病態によっても治療法が異なります。正確な診断が必要なため、レントゲンやMRI検査、筋電図検査、血液や尿検査等を行います。
安静にしていても症状が改善しない、次第に悪化する、発熱がある、下肢がしびれたり力が入らない、尿漏れなどの症状を伴ったりしている場合は自己判断や放置せず、すみやかにご来院ください。 予防と治療
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- 内服薬
- ブロック注射療法
- コルセットなどの装具療法
- 牽引などの理学療法
- 運動器リハビリテーション
- 手術治療
腰痛による日常生活の制限での体力低下、腰を支える筋力の衰え、気分も落ち込みやすいために、さらに腰痛がおきやすくなります。
中腰にならないなど日常的姿勢に注意し、また腰の支持性を高めるための運動や体操の継続をおすすめします。
状態に応じた体操や運動プログラムについては、受診の際、医師にご相談ください。
突き指
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ボールや物が指が当たり、指先に大きな力が加わることによって起こる指のけがの総称を「突き指」と言います。
指の腫れや痛み、動かしにくさなどの症状があり、放っておけばそのうち治ると軽く考えられがちですが、「突き指」には骨折、脱臼、靱帯・腱損傷を伴っているなど状況は様々で、中にはすぐに手術が必要な場合もあります。
早期に正しく診断しないと適切な治療の時期を逃すこともあり、レントゲン撮影や超音波検査など、専門医による正しい診断と適切な治療を受けることをお勧めします。
むち打ち症
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むち打ち症は医学的な傷病名ではなく、主に自動車の衝突、追突の強い衝撃により首が鞭のようにしなることによって起こる症状の総称です。医学的には、「頚椎捻挫」「頚部挫傷」「外傷性頚部症候群」などと診断されます。
首の痛みの他、頭痛、吐き気、めまいなど、受傷原因や外傷程度により症状はさまざまで、治療方法・期間は多岐にわたります。
交通事故後にいわゆる「むち打ち症」が疑われる場合は、神経学的所見を含む診察所見、病状によってレントゲン撮影やMRIなどの精査が可能であることから、整形外科医の診察を受けることをお勧めします。
肩こり
症状
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肩こりに関係する筋肉は様々ですが、首の後ろから肩、背中にかけて張っている僧帽筋という幅広い筋肉のあたりに症状を持つ方が多いです。
- コリ、痛み
- 頭痛
- 吐き気
- 目の疲れ
- 腕のしびれ
原因
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- 首や背中が緊張するような姿勢での作業
- 猫背、前かがみなど姿勢がよくない方
- 運動不足
- なで肩
- ショルダーバッグ
- 冷房
診断
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問診や触診、肩関節の可動域チェックなど行い、必要によりレントゲン検査、MRI、血圧測定などの検査も行います。
頸椎の疾患、高血圧症、眼疾患など、肩関節疾患の随伴症状としての肩こりも少なくありません。 予防・治療
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同じ姿勢を長く続けない、入浴して体を温める、適度な運動や体操を行うなど、肩こりは予防が大切です。
治療については、マッサージ療法や温熱療法、運動療法、薬物療法などを行います。
明らかな原因疾患があればその治療が必要です。まずは整形外科医にご相談ください。
ぎっくり腰
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ぎっくり腰は、重い物を持ち上げようとした時、腰をねじる動きをした等、何かの拍子に急に起こった強い腰の痛みの通称で、病名や診断名ではありません。
痛みの原因も様々で、腰の関節や軟骨に力がかかってケガをしたような状態(捻挫、椎間板損傷)、腰を支えている筋肉やすじなどの柔らかい組織の損傷などが考えられます。
しかし、足の痺れなどの他の症状がある場合は椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの可能性、ばい菌による背骨や椎間板の化膿など大きな原因が潜んでいる場合もあります。
万が一の場合の治療の手遅れにならないよう、強い腰痛があるときは整形外科を受診して、正しい診断を受けましょう。
テニス肘
(上腕骨外側上顆炎)
症状
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ものを掴んで持ち上げる、タオルを絞る、ペットボトルの蓋を開けるなどの動きで、肘の外側から前腕にかけて痛みが走ります。多くは動かしたときの痛みであり、安静時の痛みはありません。
原因と病態
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中年以降のテニス愛好家に生じやすいのでテニス肘と呼ばれており、一般的には年齢とともに肘の腱がいたんで起こります。
病態や原因については十分にはわかっていませんが、主に手首を伸ばす働きをする短橈側手根伸筋の起始部が、肘外側で障害されて生じると考えられています。
寝違え
症状
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不自然な姿勢で寝て首や肩に負担がかかってしまい、起床の際強い痛みがでる症状のことをいわゆる「寝違え」と言います。
首を動かすと痛みが出る場合、痛みで首を動かせない場合もあります。 原因と病態
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原因については様々な意見がありますが、検査や画像で確認できるような変化や異常がないのが一般的のため、正確な原因である証拠はありません。いずれにせよ、外傷(ケガ)ではなく軽い病気です。
- 同じ姿勢の持続
- 長時間、パソコンや事務作業で前かがみの姿勢を取っている
- 首肩まわりの冷えによる血行の悪化
- 肉体労働による疲労 等
予防と治療
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寝違えが起こった時には痛い方向には動かさず、静かにしているほうがよいでしょう。
医療機関で処方された湿布は炎症を抑え、痛みをとる薬剤が含まれているので、痛みのある部分に貼ることや、鎮痛消炎薬・筋弛緩薬の内服も有効です。
緩やかなストレッチも有効の場合がありますが、痛みを我慢しながらのストレッチは逆効果の場合もあります。
いずれにしても、治療の効果を見ながら、治療方法を考えていく必要がありますので、整形外科の受診をおすすめします。